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1.3.3 周波数掃引方式とレーダーの操作
この方式のSARTは、装置としても簡単で、信頼性が高く経済的な装置として実現できる他、応答波には9GHz帯の総ての周波数を含む事を利用して、「レーダーの映像上にSARTコードだけを表示」させる事ができる。
既述のとおりレーダーは、自身の送信パルス波の物標からの反射波(同一周波数)を受信し、レーダー映像として表示するもので、受信器の周波数を離調させると、通常の映像は消去される。仮に山岳遭難の捜索に使用して煩わしい陸地の反射エコーが映像全面に表示されたり、船舶レーダーによる捜索における海面反射とSARTコードが重なっても、指示器の前面にあるツマミを回す簡単な操作でレーダーの受信周波数を離調させることにより、送信パルスと同一の周波数である一般反射エコーは消えて、SARTコードだけが表示される。このレーダーの操作は、送、受信の周波数を変えるヘリコプターとう載レーダーの「ピーコン・モード」と同じ原理に基づくものである。
なおSARTを相手とする船舶/航空機レーダーによる捜索救助方法の要点は、日本の寄与文書LSR20/INF.11“Typical radar seach and rescue operation for SAR trans−ponder”(’88)としてIMOの救命捜索小委員会に提出されており、捜索専門機関用のIMOSARMMaualや一般商船用のMERSAR Manualへの編入が予定されている。
国際的標準化の過程では、英国などから、レーダーパルスの周波数をSART側で計測して同一周波数で応答する周波数アジャイル方式が提案された事もあるが、装置が複雑高価になる事やレーダー妨害や干渉に弱く、断念した経緯がある。今回国際的に標準化された日本提案の周波数掃引方式のSARTは「レーダー妨害に強い」事も確かめられており、ITUの電気通信規則上の制約はあるが、陸、海、空何れの救助活動にも適用できる。

 

 

 

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